2007年04月01日

ものの見方

「人は、おのれの見たいものだけしか見ない」

だれの言葉であったでしょうか?
もちろんテレビのチャンネル選びのこと、ではないですが。

同じ一つのものをみても、人によってそれぞれとらえ方がちがいます。これはわれわれが日常的に、しばしば体験することです。

ときには、正反対に見えることすらある。
結局、人は自分に都合のいいものだけを見るのかもしれません。

ものを見るということは、そこに自分を投影してるのかもしれないです。つまるところ、分相応のものしか見えないということ。

見れども、見えず・・・・目明き千人に、めくら千人、とか。
むかしの人は、うまいこと言いますね。


ところで、沈没した乗員の救助をどうやったのか?

カッター(端艇)をおろして救助するのは、自力で泳ぎつけぬ負傷者でしょうか?
何百人も助けを求めて待っているときは、それだけでは間に合わないはずです。

数十本のロープを外舷のハンドレールに結んでたらして、乗組員各自が先端を輪にしたロープを持って、舷側に泳ぎついた遭難者に投げてやるそうです。
心得のある人は、片足を輪に入れて両手でロープを握る。そうすれば、上から引き揚げることができる。

あの駆逐艦「濱風」は、11月16日、ブルネイを出発して内地に回航する栗田艦隊の残存部隊の中にいました。

戦艦「大和」「長門」「金剛」、重巡「矢矧」、駆逐艦「浦風」「磯風」「雪風」「濱風」の八隻です。

「島風」のように、他任務で残ったのもありますが、それにしても三十二隻で出撃したのが、内地に帰るときにはこれだけですから。悄然たる気分ではなかったでしょうか。
しかも、帰路もまた戦場。

11月21日 03:06 台湾基隆沖まで来た時。
米潜水艦の雷撃で、「金剛」に4本、「浦風」に2本、被雷してしまいます。
「浦風」は一瞬のうちに艦影が消えたそうですから、轟沈。
さすがに「金剛」は、それでもなお16ノットで航行をつづけるのですが・・・・・
04:00 突然、大爆発を起こして急速に沈没してしまいます。

「濱風」「磯風」は、この二艦の救助を命じられて、現場に急行します。
「大和」「長門」は、「矢矧」「雪風」が護衛して内地に向かう。

この日の海上は大時化で、波が駆逐艦の艦橋をこえるほどだった、といいます。
(この、「金剛」のくだりはまた別のところで)


救助した人々を「矢矧」に移してから、三隻の駆逐艦は「長門」を護衛して、母港横須賀にかえります。それが、11月25日。

で母港に帰るやいなや、この第17駆逐隊の三隻を待っていたのが、空母「信濃」を瀬戸内海に回航する任務でした。

気がつきましたか、レイテ出撃のときから、いやその前のリンガでの訓練から、彼らはほとんど休んでいないですね。

常に戦闘航海を続けているわけです。
まさに海の男の艦隊勤務、月月火水木金金ですか。
今の若者だったら、・・・・?

「信濃」は戦艦「大和」の三番艦ですが、建造途中で空母に改装されています。
この19日に引き渡されたばかりの、できたてほやほやの巨大空母でした。つまりこの日に軍艦旗をあげて、海軍籍に入ったということです。
5年の歳月と建造費をかけて、工廠の技術と心血を注いだフネでしたが、わずか十日後に・・・・・

11月28日 13:30、出港して呉に向かいます。
11月29日 11:57、潮岬沖にて敵潜魚雷で沈没。
死者791名、駆逐艦に救出された者1080名。

ほとんどの、国民の耳目に触れることなく海に消えたために、幻の空母といわれました。

このときの三隻の駆逐艦の、決死の救出作業を、戦後中傷したものがいて雑誌の記事にまでなったといいます。

「信濃」の生存者が救出されるとき、手荒な扱いを受け、略奪行為があったと・・・

「信濃」には試験や未完作業のために、民間人・工員が200名ほど乗ってたといいます。


ところで、遭難者は長時間荒天の海(風速20メートル)に漂流して、救助されると気がゆるんで息をひきとる者が多いそうです。そのため、頬を叩いたり怒鳴ったりして、活を入れることが必要だったわけですね。

重油でどろどろの衣服を、全部剥ぎ取ってから居住区に入らせる。着たまま艦内に入ろうとするものは強制的に脱がせる。
そうしないと、艦内が油まみれになって、あとで大変ですよね。

しかし、軍隊はひどいところで、いやなところだということで、非難することで自分を正当化する人が、やはりいるわけです。

まさに、ものの見方はひとそれぞれ、といってしまえばそれまでですが。

ただ、印刷物などに残ると、後世それを読んだ人がそれを事実と思い込む場合がありますから、こわいし困りますね。






posted by shuuin at 19:12| ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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