2007年07月07日

五ヶ年計画

昭和12年の近衛内閣の登場で、重要法案がいくつか成立します。
なかでも、国家総動員法案、電力管理法案などがよく取り上げられて、これらの法律の制定で一気に統制経済・戦時体制に突入した、というようなことが一般にいわれています。
歴史を、映画のパンフレットのあらすじのように表現すれば、結果論から言えばそうなるのかもしれませんが。

先の産業五ヶ年計画もそうですが、これは何も戦争のための準備をしたわけではなく、当時の日本の経済力・産業構造の弱点にやっと気づいた日本の政財官界が、つまりは日本のリーダーたちがだした結論だったのです。

誰でも知ってるように、現在の最先端技術や、かってのトランジスターからインターネットまでも、もともとは軍事や兵器開発から生まれましたね。
実は、これとよく似たことが、経済や産業をひっくるめた日本の国策の分野にも起こっていた。最初に国力が極端なまでに脆弱になっていることに気づいたのは、一部の軍人たちのようです。

軍人の習性に、最悪の場合を想定して作戦を練るというのがあります。
国防というのはある種の危機管理でしょうから、その意味では災害対策に似てますが、もし××が起こったらどうなるかを研究するわけです。
まえに、石原莞爾が参謀本部に入って、日本の真の姿を見て驚いた云々と書きましたが、彼はそこで日本の国力の実態を知ったわけですね。

この後に来る支那事変に際して、石原が「蹴飛ばされても、鞭で叩かれても、隠忍自重してひたすら我慢しろ」といってます。
余談ですが、よく満州事変の当事者がなにを今更戦争反対か、などと笑いますが、これは的外れな非難? 
というのは、石原莞爾はそれまでは外様?、軍中央とは無縁で外に出ていた。つまりは、出先にいれば、日本の国力は明治以来営々と伸張してると思っていたでしょう。満州事変で作戦能力を発揮したのが認められて、参謀本部に呼ばれた。そこで、諸種の統計数字を集めてみて初めて日本の国力の、真の姿を知って愕然としたわけですからね。

これは大変だということで、石原も陸軍の立場から考えて5ヵ年計画を云々してますが、この5カ年計画というのはいわば計画経済、全体主義国家の経済になりますが、この場合の手本はおもにソ連でした。
面白いですね、自由主義経済国の日本が、全体主義国家と同じ手法をとらざるを得ない。極北はあい似たり、は少し違うかな、日本は右翼国家だったわけではないですから。
当時ソ連は相次ぐ五カ年計画で国力や軍事力をつけていましたから、その効果の上がってる方法を見習った、と考えたほうが当たってるかもしれません。

国家総動員とか経済統制とかのことも、実は十年もまえから研究されていて、後に総理大臣になる小磯国昭などもてがけていたはずです。

ところで、この近衛文麿は支持政党を持っていなかったのですね。
与党第一党の党首が総理大臣になるという、いまの政界を考えるとちょっとちがう? 味方がいないから、法案がもめたときには淋しかったらしい。
当時代議士の数が一番多いのが民政党、第二党が政友会、これらはまず国家総動員法案に反対。ちなみにあの鳩山一郎も河野一郎も政友会、河野は一年生議員でした。
この法案に積極的に賛成して、政府与党的立場に立ったのがなんと社会大衆党でしたから、なんとなく驚きます。

この頃、共産党は非合法で地下にもぐっていたわけですから、社大党はいわば一番の左派? 党首安倍磯雄はあの幸徳秋水とも関係のあった人物です。
確か早大野球部のグラウンドに銅像があったはずですから、ハンカチ王子も頭を下げたかもしれない。
社会大衆党の掲げる三反主義というのは、反資本・反共・反ファシズムだったそうです。その幹事長西尾末廣が、法案成立に力を貸すのですが、浅沼稲次郎も一緒だったとか。ちなみにこの二人は、戦後日本社会党を結成しています。

ところで西尾が近衛文麿を励ます演説に、五箇条の御誓文を引用したあとに、
「もっと大胆率直に日本の進むべき道はこれであると、ヒトラーの如く、ムッソリーニの如く、あるいはスターリンの如く大胆に、・・・・・」と、ハッパをかけているのにはまたまた驚きます。
議場はもちろん騒然としたようですが、スターリンとは何ごとかということで、確か懲罰になったはず。

ただ国家総動員法案は、結果的にはほぼ満場一致で成立します。

これこれの法律ができた、国家統制が始まった、これでは味も素っ気もありませんが、裏のドラマも知ってみれば興味深いものがあります。
意外にいまの政治の流れが、見えてきたりもしたりして・・・・

帝国議会も、現在の国会も、委員会と本会議のやり方などはほとんど変わってないみたいですね。
貴族院が参議院にかわっただけ?

そうそう、統制という言葉の意味も、一義的に戦時統制で考えてしまうと、だいぶ的外れの勝手読みになりそうですが?


posted by shuuin at 17:28| ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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